Ca/Mgバランス

・骨や骨髄を食べなくなった現代人の食事

現代人の食事を見た時、カルシウムの摂取源として、乳製品(生乳、ヨーグルト、チーズなど)、豆類で約50%を占める。

しかし、これらは、Ca/Mg比が高値のものが多い。

ヨーグルト 10.00

チーズ 33.16

牛乳 11.00

大豆(ゆで) 0.79

絹ごし豆腐 1.50

木綿豆腐 1.63

油揚げ(生) 2.07

納豆 0.90

現代人の食事は、Ca/Mgバランスが悪くなっている。

「日本人の食事摂取基準2015」によると、推奨するCa/Mgバランスは2.24(カルシウムの目標量/マグネシウムの推奨量)となっている。

また、H29の国民健康・栄養調査によると、20歳以上の成人のCa/Mg摂取バランスは女性で2.15、男性で1.95という結果が出ている。

一見、推奨するCa/Mgバランスに近く、良いように見えるが、Ca/Mg比が高いと、虚血性心疾患のリスクが上がることがわかっている。

このCa/Mgバランスが1に近づくと、虚血性心疾患のリスクも下がることがわかる。

ヒトはもともと骨や骨髄を食べておりマグネシウム不足に陥ることはなかったが、現代では骨をまるごと食べることが少なくなり、肉だけを食べることが多くなった。

よって現代人の食事ではカルシウム過剰になりやすく、相対的にマグネシウム不足になりやすい。

マグネシウムは体内の様々な反応にかかわっており、不足するとトラブルが起こりやすくなる。

また、カルシウムとマグネシウムは、拮抗した作用をもつ場合もあり、カルシウムの過剰で、体内の調整機能が正常に働かなくなる。

・Ca/Mgバランスの崩れやMgの不足による問題

①エネルギー産生ができなくなる

エネルギー産生時に必要な酵素(ATPase)はマグネシウムを必要とする。

マグネシウムがなければ、酵素が働かないためにエネルギー産生ができない。

②糖尿病リスクが上がる

マグネシウム不足によりインスリンのブドウ糖取り込みや、インスリン自体の分泌が正常にできなくなることで、糖尿病発症リスクがあがる。

③骨粗しょう症リスクが上がる

骨のリン酸カルシウムの安定にMgが必要となり、マグネシウムが不足、またCa/Mg比が上がると骨の形成などが障害され、骨粗しょう症のリスクが上がる。

④虚血性心疾患リスクが上がる

疫学調査により、Ca/Mg比が上がると、虚血性心疾患のリスクがあがることがわかっている。

参考文献:

・西沢良記ほか, カルシウム その基礎・臨床・栄養, 第1版, ライフサイエンス出版株式会社, 1999, 277p.

・Schulze MB, Fiber and magnesium intake and incidence of type 2 diabetes: a prospective study and meta-analysis., Arch Intern Med., 2007 May 14;167(9):956-65.

文責:管理栄養士 ちー

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